長崎県で建設業許可を新規取得する前に確認すべき8つのポイント

長崎県で建設業許可を新規取得する前に確認すべき8つのポイント

「500万円以上の工事を受けたい」
「元請から建設業許可の取得を求められた」
「公共工事や大きな民間工事に備えたい」

建設業を営んでいると、このような理由で建設業許可の新規取得を検討する場面があります。

この記事では、長崎県で建設業許可の新規取得を検討している会社・個人事業主の方に向けて、申請前に確認しておきたいポイントを解説しています。

この記事で分かること
  1. 建設業許可を取る前に、自社で何を確認すべきか
  2. 人・お金・社会保険・営業所など、申請で見られる要件の全体像
  3. 申請でつまずかないために、早めに整理しておきたい資料や準備

目次

自社の工事に建設業許可が必要かを確認する

軽微な建設工事に該当するか

建設業を営む場合でも、「軽微な建設工事」(以下、「軽微な工事」)のみを請け負うのであれば、建設業許可は不要です。軽微な工事に当たるかどうかは、工事の種類と請負代金で判断します。金額はいずれも消費税を含めて判断するという点にご注意ください。

工事の種類軽微な工事の基準
建築一式工事工事1件の請負代金が税込1,500万円未満の工事
または延べ面積150㎡未満木造住宅工事
建築一式工事以外の工事工事1件の請負代金が税込500万円未満の工事

まずは自社が請け負っている工事が建築一式工事なのかそれ以外の専門工事なのかを整理しましょう。
次の章で詳しく説明しますが「建物に関する工事だから建築一式工事」ではないのでご注意ください。

500万円未満でも契約分割や材料支給に注意する

建築一式工事以外では、税込500万円未満かどうかが大きな目安になります。ただし、契約書の金額だけを見ればよいわけではありません。

1つの工事を2つ以上の契約に分けて請け負う場合、正当な理由がなければ各契約の金額を合計して判断します。また注文者から材料の提供を受ける場合には、その材料の市場価格や運送費を請負代金に加えて判断することがあります。

つまり「契約書上は500万円未満だから許可はいらない」とは限らないということです。工期、契約内容、材料支給の有無まで含めて、自社の工事が許可を要する規模に該当しないか確認しておきましょう。

今後受けたい工事の規模もあわせて確認する

現在は軽微な工事だけを請け負っていても、次のような場合は早めに準備を始めましょう。

  • 今後、税込500万円以上の専門工事を受けたい
  • 元請から建設業許可の取得を求められている
  • 公共工事を受注したい

建設業許可は必要になったその日に取得できるものではありません。要件確認、資料収集、申請、審査に時間がかかります。受注したい工事が見えてから慌てるのではなく、事業計画に合わせて許可取得の見通しを立てておくことが大切です。

取得すべき許可区分と業種を確認する

建設業許可は29業種ごとに取得する

建設業許可は建設業全体について一括で取得するものではありません。29業種に分かれており、業種ごとに許可を受けることになります。

区分業種
一式工事土木工事業、建築工事業
専門工事大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、電気工事業、管工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、機械器具設置工事業、熱絶縁工事業、電気通信工事業、造園工事業、さく井工事業、建具工事業、水道施設工事業、消防施設工事業、清掃施設工事業、解体工事業

申請前には、自社が実際に請け負っている工事今後受注したい工事どの業種に該当するかを整理する必要があります。会社名や普段の呼び方ではなく、建設業法上の工事内容に照らして判断することが重要です。

一式工事の許可だけで専門工事を請け負えるわけではない

特に注意したいのが一式工事の考え方です。

「土木一式工事や建築一式工事の許可を取れば、すべての専門工事を自由に請け負える」
と誤解されることがあります。

しかし一式工事は「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を建設する工事」です。
専門工事を単独で請け負う場合には、原則としてその専門工事に対応する業種の許可が必要です。

たとえば内装工事、屋根工事、防水工事、電気工事などを単独で請け負うのであれば、それぞれの工事内容に応じた業種を検討しなければなりません。許可業種を誤ると、許可を取得しても予定していた工事を請け負えないことがありますのでご注意ください。

【経営業務の管理責任者等】建設業の経営経験がある人を確認する

なぜ建設業の経営経験が必要なのか

建設業では、請負契約の締結、資金繰り、技術者や職人の配置、下請業者との契約、工期や安全面の管理など、経営者として判断すべき場面が多くあります。そのため、許可を受ける会社や個人事業主に、建設業の経営を一定期間経験してきた人がいることが求められます。

この要件に関係するのが「経営業務の管理責任者等」です。略して「経管(けいかん)」という呼び方をすることもあります。

経営業務の管理責任者等とは

経営業務の管理責任者等とは、自社の建設業の経営について、対外的に責任を持つ立場で総合的に管理する人のことです。

許可を取得するためには、この重要な役割を担うための要件として、過去に上記と同等の立場で経営を管理してきた経験があるかどうかが審査されます。

具体的には下記の人について、建設業に関する経験の有無を確認します。

  • 法人の場合は常勤の役員等のうち1人
  • 個人事業の場合は本人または支配人

代表的な要件としては、建設業に関し以下の役職などで5年以上の経営経験を有することが求められます。

  • 代表取締役、取締役
  • 個人事業主
  • 支店長、営業所長など

単に名義上の役職に就いていたというだけでなく、実質的・総合的に経営業務を管理してきた実績があるかが重要になります。

経験を証明する資料を準備できるか

重要なのは自社に「経験があるか」だけではなく、「その経験を客観的な書類で証明できるか」という点です。

法人の役員経験であれば「履歴事項全部証明書」「閉鎖登記簿」、個人事業主であれば「確定申告書」などがその役職に就いていたことの確認資料になります。

さらにその期間に会社が「実際に建設業を営んでいたこと」を示すために、建設業許可通知書や、当時の工事請負契約書、注文書、工事発注証明書などが必要になります。

実務上、経験年数は満たしていても、過去の資料が残っていないために証明で苦労するというケースは非常に多いため注意が必要です。

【営業所技術者等】国家資格や実務経験等がある人を確認する

営業所ごとに一定の技術者が必要

建設工事では、工事内容に応じた技術的な判断が欠かせません。契約を結ぶ段階でも、その工事を自社で適切に請け負えるのか、内容や金額に見合った施工体制を確保できるのかを確認する必要があります。

そのため建設業許可では、許可を受けようとする業種について、一定の資格や実務経験を持つ人が営業所にいることが求められます。会社として工事を受注できるだけでなく、その業種の工事について技術面から判断できる体制があるかどうかが審査されます。

この役割を担う人が、建設業許可でいう「営業所技術者等」です。(実務上は「専任技術者」という言い方もします)

資格・学歴・実務経験のどれで要件を満たすか

営業所技術者等は、許可を受けようとする業種について専門的な知識や経験を有する人です。

一般建設業許可では、対象業種に対応する資格を持っている人指定学科を卒業して一定年数の実務経験がある人、または10年以上の実務経験がある人などが該当します。許可を受けたい業種ごとに必要な条件は異なるため、自社が取得したい業種では、どの資格や実務経験で要件を満たせるのかを確認することが大切です。

実務経験で申請する場合は契約書・注文書等が重要

実務経験で営業所技術者等の要件を満たす場合は、経験した工事の内容と期間を証明する必要があります。証明にあたっては「実務経験証明書」を作成しますが、さらにそれを裏付ける客観的な確認資料が必要になります。

ここでのポイントは経験を積んだ会社がその業種の「建設業許可を持っていたか」で必要な資料が変わるという点です。

  • 許可を持っていた期間の経験
    当時の「建設業許可通知書の写し」などで証明可能です。

  • 許可を持っていなかった期間の経験
    当時の工事請負契約書、注文書、工事発注証明書(原本)などが必要になります。
    (書類は1年につき1件必要)

このとき経験した工事が申請する業種と対応しているかが重要です。例えば内装仕上工事業で申請するのに、経験資料の内容が別業種の工事であれば、内装仕上工事業の実務経験としては認められません。

証明書類は年度ごとだけでなく、申請予定の業種ごとにも整理しておきましょう。契約書や注文書に工事内容が具体的に記載されていない場合は、工事発注証明書などで補えるかも確認が必要です。

営業所に常勤できる人かどうかも確認される

営業所技術者等は営業所ごとに専任で置かれ、その営業所に常勤して職務に従事することが求められます。そのため、次のような場合は、常勤性や専任性が認められないことになります。

常勤性が認められないケース
  • 他社の常勤役員になっている人
  • 他の営業所の営業所技術者等になっている人
  • 営業所から著しく遠方に住んでいて、通勤が現実的でない
  • 他の法令で専任を求められる職務と重複している人

資格や経験を満たしていても、常勤性を確認できなければ申請は進みません。健康保険・厚生年金保険の標準報酬決定通知書、雇用保険関係資料、住民税特別徴収税額通知書、出勤簿、賃金台帳など、常勤性を示す資料も早めに確認しておきましょう。

なお令和7年12月2日以降、健康保険被保険者証は常勤性確認資料として利用できない扱いになっていますのでご注意ください。

適切な社会保険に加入しているか

健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況を確認する

建設業許可では、適切な社会保険に加入していることも要件になります。そのため健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、適用事業所に該当する営業所では必要な届出をしているか確認されます。

会社の形態や雇用状況によって加入すべき保険は異なる

加入すべき保険は、法人か個人事業か常用労働者の人数従業員の就労形態などによって異なります。

たとえば、「うちはずっと建設国保に入っているから大丈夫」と思っていても、法人の場合は原則として別途「厚生年金保険」への加入が必須となり、建設国保を継続するためには年金事務所で「健康保険の適用除外承認」を受けていなければならないケースがあります。

自社がどの保険に加入する義務があるのか、まずは現状を正しく把握することが重要です。必要に応じて専門家である社会保険労務士にも相談しておくと安心です。

財産要件を確認する

一般建設業許可では500万円以上の資金面の証明が必要

一般建設業許可では、財産的基礎または金銭的信用が求められます。具体的には、次のいずれかを満たす必要があります。

財産的基礎要件
  • 自己資本の額が500万円以上あること
  • 500万円以上の資金調達能力があること
  • 直前5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること

新規申請では直前5年間の許可実績を使えないことが多いため、決算書で自己資本を確認するか、預金残高証明書や融資証明書で資金調達能力を確認する流れになります。

残高証明書は取得時期にも注意する

預金残高証明書を使う場合は、金額だけでなく取得時期にも注意が必要です。長崎県では残高証明書の証明日が申請日前1か月以内のものである必要があります。

また複数の金融機関の残高証明書を使う場合、同じ残高日でそろえる必要があります。

金融機関での発行に時間がかかることもあるため、申請日から逆算して、いつ取得するかを決めておきましょう。

営業所の実態を確認する

営業所として認められる実態があるか

営業所は建設工事の請負契約を締結する事務所としての実態が必要です。単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所などは、建設業法上の営業所とは認められません。

長崎県では営業所の確認資料として、外観、入口付近、内部全景などの写真が求められます。看板や表札、電話、机、パソコン、契約関係書類の保管場所などにより、実際に営業所として機能していることを確認できる状態にしておく必要があります。

自宅兼事務所や賃貸物件を営業所にする場合の注意点

自宅兼事務所や賃貸物件を営業所にする場合は、事務所として使用できる状態か使用権限を示せるか居住部分と事務所部分を区別できるかも確認しておきましょう。

誠実性・欠格要件に問題がないか確認する

建設業許可では経営経験、営業所技術者等、財産要件などを満たしていても、申請者や役員等に一定の事情がある場合は許可を受けられません。この確認項目が「誠実性」と「欠格要件」です。

誠実性とは建設工事の請負契約を結ぶ場面や、契約内容を実行する場面で、不正または不誠実な行為をするおそれがないことをいいます。

欠格要件とは建設業許可を受けることができない一定の事情のことです。例えば、次のような場合が該当します。

結核要件を満たさないケース
  • 申請書類に虚偽の記載がある場合
  • 過去に建設業許可を取り消されて一定期間が経過していない場合
  • 一定の刑罰を受けてから一定期間が経過していない場合
  • 暴力団員等に該当する場合

欠格要件は法人であれば役員等個人事業であれば本人、営業所の代表者なども確認の対象になります。気になる事情がある場合は、申請準備を進める前に確認しておきましょう。

まとめ:建設業許可は申請前の事前確認が大切

建設業許可の新規申請では、申請書を作る前に次の点を確認しましょう。

  • 自社が請け負う工事に建設業許可が必要か
  • どの業種の許可を取得すべきか
  • 建設業の経営経験がある人と、その経験を示す資料があるか
  • 営業所技術者等として配置できる人がいるか
  • 必要な社会保険に加入しているか
  • 500万円以上の財産要件を満たせるか
  • 営業所としての実態を示せるか
  • 誠実性・欠格要件に問題がないか

これらを整理することで、申請準備の見通しが立ちやすくなります。

特に、経営経験や実務経験の証明資料は、すぐに揃わないことがあります。
受注予定が具体化してから慌てて準備を始めると、必要なタイミングに許可が間に合わない可能性もあります。

長崎県で建設業許可の取得を検討している方へ

当事務所では、建設業許可の新規申請に関する要件確認から書類作成、申請手続きまでサポートしています。自社で許可を取れるか不安な方は、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

藤本 悠平のアバター 藤本 悠平 フェリックス行政書士事務所 代表

九州を拠点とする税理士法人にて相続業務やクリニックの経営支援に従事した後、フェリックス行政書士事務所を立ち上げる。
主な取扱い業務は医療法人の設立・解散認可申請、遺言書作成、相続手続き。

行政書士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)/AFP

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